Postmanは長年,世界中の開発者にとってAPIテストのデファクトスタンダードだった。しかし,複雑化する料金体系,重くなるデスクトップアプリ,無料枠の機能縮小により,多くの開発者が代替ツールを模索するようになっている。データプライバシー,料金,パフォーマンス,あるいは単にワークフローにフィットするツールへの乗り換え——市場には今,魅力的な選択肢が揃っている。

本ガイドでは,2026年のPostman代替ツール7つを機能・料金・最適な用途の観点で比較する。

開発者がPostmanから離れる理由

代替ツールを見る前に,乗り換えの動機を整理しておこう。Postmanの現在の料金は,無料プランからBasic $19/ユーザー/月,Professional $39/ユーザー/月,Enterprise $49/ユーザー/月と段階的に上がる(出典)。また,フルAPIライフサイクルプラットフォームへのシフトにより,日常のAPIテストには不要な複雑さが加わっている。

主な乗り換え理由:

  • パフォーマンス — PostmanのElectronベースアプリは古いハードウェアでもたつく
  • プライバシー — APIコレクションをクラウドではなくローカルに保存したいチーム
  • コスト — チーム拡大で有料プランの費用が膨らむ
  • シンプルさ — すべての開発者にフルAPIライフサイクルプラットフォームは不要

1. Bruno — オープンソース・Git連携の最有力候補

Brunoは高速でオープンソースのAPIクライアントで,プライバシー重視のPostman代替として急速に人気を集めている。最大の特長は,Bruというプレーンテキスト記法でAPIコレクションをファイルシステム上に直接保存し,Gitでのバージョン管理と自然に統合できる点だ。

主な機能

  • Gitネイティブ — コレクションがディスク上のファイルとして存在し,バージョン管理に最適
  • オフラインファースト — クラウドアカウント不要,すべてローカルで完結
  • オープンソース — MITライセンス,透明な開発プロセス
  • REST,GraphQL,gRPC対応
  • Postman,OpenAPI,Insomniaからインポート可能 — 移行が容易
  • スクリプティング — JavaScriptによるリクエスト前・レスポンス後スクリプト

料金

オープンソース版は完全無料。追加機能としてPro($6/ユーザー/月)とUltimate($11/ユーザー/月)の有料プランがあり,チームコラボレーション機能と高度なプロトコルサポートを含む(出典)。

最適な用途

ローカルファースト保存,Git連携,プライバシーを重視するソロ開発者やチーム。APIコレクションをコードと一緒にリポジトリに置きたい開発者に特に魅力的。

制限事項

  • Postmanと比べてプラグインエコシステムが小さい
  • チームコラボレーション機能は有料プランが必要
  • 比較的新しいツールのため,一部の高度な機能は開発中

2. Hoppscotch — ブラウザベースの最良選択

Hoppscotch(旧Postwoman)は軽量でオープンソースのAPI開発エコシステムで,完全にブラウザ上で動作する。高速,ミニマル,インストール不要。

主な機能

  • ブラウザベース — ダウンロードもインストールも不要
  • リアルタイムコラボレーション — APIコレクションの共同作業
  • REST,GraphQL,WebSocket,SSE,Socket.IO,MQTT対応
  • OpenAPI,Postman,Insomnia,HARファイルからインポート
  • セルフホスト可能 — プライベートインフラでの運用で完全なデータ管理
  • PWA対応 — プログレッシブWebアプリとしてネイティブに近い体験

料金

無制限のワークスペース,コレクション,リクエスト,ランナーを含む充実した無料枠。Organization プランは$6/ユーザー/月(年払い)で,管理ダッシュボード,専用サポート,カスタム決済オプションを追加(出典)。

最適な用途

デスクトップアプリのオーバーヘッドなしに軽量なブラウザベースワークフローを好む開発者。APIテストインフラをセルフホストしたいチームにも最適。

制限事項

  • ブラウザベースのため,ブラウザ拡張機能やプロキシなしではlocalhostのAPIにアクセスできない
  • デスクトップアプリは競合より成熟度が低い
  • PostmanよりCI/CDパイプラインとの統合が少ない

3. Insomnia — RESTとGraphQLデバッグに最強

InsomniaはKongが維持するオープンソースAPIクライアントで,クリーンなインターフェースと優れたデバッグ機能で知られている。

主な機能

  • マルチプロトコル対応 — REST,GraphQL,gRPC,WebSocket,SSE,SOAP,Socket.IO
  • OpenAPI設計とリンティング — ライブプレビュー付きAPIスペックエディタ内蔵
  • リクエスト前・レスポンス後スクリプティング
  • コレクションランナー — 有料プランで無制限実行
  • Git同期 — バージョン管理のためのネイティブGit統合
  • E2E暗号化 — エンタープライズプランで対応
  • MCPクライアントサポート — OAuth対応のMCPクライアント管理

料金

コアAPIデバッグ機能(Scratch Padモード含む)の無料枠あり。有料プランはコラボレーション,CI/CD統合,エンタープライズ機能を必要とするチーム向け。無料プランでは1プロジェクトに対し無制限のコラボレーターが参加可能。TeamとEnterpriseプランはシート単位の課金で,RBAC,SSO(SAML,OIDC),エンタープライズストレージ管理などの機能を追加(出典)。

最適な用途

成熟したフル機能APIクライアントで,強力なGraphQLサポートとエンタープライズグレードのセキュリティ機能を必要とするチーム。Kongの後ろ盾により長期メンテナンスへの信頼性が高い。

制限事項

  • 所有権と方針が何度か変わっている
  • クラウドアカウント必須化(後に撤回)をめぐるコミュニティの不満
  • エンタープライズ機能は有料プランが必要

4. Thunder Client — VS Codeユーザーに最適

Thunder ClientはVisual Studio Code内で動作する軽量RESTAPIクライアント。VS Codeで開発する人にとって,別アプリへのコンテキストスイッチが不要になる。

主な機能

  • VS Codeネイティブ — エディタ内の拡張機能として動作
  • 軽量 — スタンドアロンAPIクライアントと比べてリソース消費が最小限
  • GUIベース — リクエストの構築・送信のための完全なグラフィカルインターフェース
  • コレクションと環境 — 変数サポート付きでリクエストを整理
  • PostmanとOpenAPIからインポート
  • リクエストチェイニング — リクエスト間でレスポンスを連携

料金

非商用個人利用の無料枠あり。Individual プランは$49の一括払いで永続フォールバックライセンス付き。チーム向けはStarter $3/ユーザー/月,Business $7/ユーザー/月(年払い)で,CLI,CI/CDサポート,WebSocket・SSE・gRPC対応を含む(出典)。

最適な用途

主にVS Codeで作業し,エディタを離れずにAPIテストを行いたい個人開発者や小規模チーム。

制限事項

  • VS Codeエコシステムに依存(JetBrains,Vimなどでは利用不可)
  • 無料枠は非商用利用に限定
  • WebSocketやgRPCなどの高度な機能は有料プランが必要

5. HTTPie — CLIとデスクトップのハイブリッド

HTTPieは直感的な構文とカラー出力で愛されるコマンドラインHTTPクライアントとしてスタートし,デスクトップアプリとWebインターフェースに拡張されている。

主な機能

  • CLIの極み — コマンドラインHTTPインタラクションのゴールドスタンダード
  • デスクトップ&Webアプリ — ビジュアルツールを好む人向けのGUI
  • 直感的な構文 — 人間が読みやすい設計(http GET example.com
  • カラー出力 — レスポンスの自動シンタックスハイライト
  • セッションサポート — ヘッダー,Cookie,認証をリクエスト間で永続化
  • プラグインシステム — コミュニティプラグインで機能拡張

料金

HTTPie CLIはオープンソースで無料。デスクトップ・Webアプリは無料枠あり,プレミアム機能は有料プランで提供(出典)。

最適な用途

エレガントなCLIツールを好み,ターミナル・デスクトップ・ブラウザで一貫した体験を求める開発者。クイックなAPI呼び出しやスクリプティングに特に強い。

制限事項

  • デスクトップ・Webアプリは新しく,CLIほど機能が豊富ではない
  • チームコラボレーションは一部の競合ほど充実していない
  • GUIの体験はまだ成熟途上

6. RapidAPI (Paw) — Macネイティブ体験に最適

RapidAPI(旧Paw)はmacOSネイティブ体験を持つフル機能APIクライアント。RapidAPIに買収後,クロスプラットフォーム対応を拡大しつつ,洗練されたMacネイティブデザインを維持している。

主な機能

  • macOSネイティブアプリ — 高速,レスポンシブ,macOSデザインガイドラインに準拠
  • 動的値 — 複雑なリクエスト構築のための強力な変数システム
  • コード生成 — 数十の言語でリクエストをコードとしてエクスポート
  • チームコラボレーション — ワークスペースとコレクションの共有
  • OpenAPI対応 — APIスペックのインポート・エクスポート
  • 拡張機能 — JavaScriptベースの拡張でカスタマイズ

最適な用途

洗練されたネイティブアプリ体験を重視するMacユーザーと,強力なコード生成機能を必要とする開発者。

制限事項

  • 歴史的にMac中心。クロスプラットフォームの体験は劣る可能性
  • 広域RapidAPIエコシステムとの統合が複雑さを増す
  • BrunoやHoppscotchと比べてOSSコミュニティの活発さが低い

7. Yaak — ミニマリスト向け

YaakはRustで構築された新しいミニマリストAPIクライアント。シンプルさとパフォーマンスに特化し,多くのAPIツールに忍び込んだ肥大化を排除している。

主な機能

  • Rust製 — 起動とレスポンスが目に見えて高速
  • クリーンでミニマルなUI — コアのAPIテスト機能に集中
  • Git対応のストレージ — 読みやすいファイル形式でコレクションを保存
  • REST・GraphQL対応
  • 環境変数とテンプレートタグ
  • クロスプラットフォーム — macOS,Windows,Linuxで利用可能

最適な用途

高速でシンプルな,一つのことを極めるAPIクライアントを求める開発者。Postmanが自分のニーズに対して過剰だと感じる人向け。

制限事項

  • 新しいツールのためコミュニティが小さい
  • 成熟した競合より高度な機能が少ない
  • プラグインエコシステムはまだ黎明期

比較表

ツール種類無料枠有料最低価格Git連携オープンソース
Brunoデスクトップあり(フル)$6/ユーザー/月ネイティブ(ファイルシステム)はい(MIT)
HoppscotchWeb/デスクトップあり(充実)$6/ユーザー/月エクスポート経由はい
Insomniaデスクトップあり(制限付き)シート単位(要確認)ネイティブGit同期はい
Thunder ClientVS Code拡張あり(非商用)$3/ユーザー/月VS Code経由いいえ
HTTPieCLI/デスクトップ/Webあり(CLI)要確認N/A(CLI)はい(CLI)
RapidAPI (Paw)デスクトップ制限付き要確認エクスポート経由いいえ
Yaakデスクトップあり要確認ネイティブはい

最適なツールの選び方

APIテストツールの選択はワークフロー,チーム規模,優先事項による:

  • プライバシー重視のソロ開発者 → BrunoまたはYaakでローカルファースト保存
  • ブラウザファーストのワークフロー → Hoppscotchでインストール不要の利便性
  • VS Codeパワーユーザー → Thunder Clientでエディタ内テスト
  • CLI愛好家 → HTTPieでエレガントなコマンドライン操作
  • エンタープライズチーム → Insomniaで成熟した機能とKongのサポート
  • Mac開発者 → RapidAPI(Paw)でネイティブ体験

まとめ

APIテストツールの市場は大きく成熟し,Postmanをデフォルトにする必要はもうない。プライバシー,パフォーマンス,コスト,ワークフロー統合のいずれを優先するにしても,強力な選択肢が存在する。多くのツールが充実した無料枠を提供しており,決定前に複数を試すことが容易だ。

BrunoやHoppscotchのようなオープンソース・Gitネイティブ・プライバシー尊重ツールへの流れは,開発者の嗜好の大きなシフトを反映している。これらのツールが成熟するにつれ,Postmanとの差は縮まり続けており,一部の領域ではすでに上回っている。

料金情報は2026年2月に確認しました。最新の料金は公式サイトでご確認ください。